大判例

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東京地方裁判所 平成9年(特わ)3544号

被告人

本店の所在地

東京都中央区新川二丁目二〇番八号

株式会社ヒグレインターナショナル

右代表者代表取締役

日暮佳永

本籍

東京都世田谷区池尻二丁目一五四番地

住居

千葉県船橋市芝山四丁目一一番一六号

会社役員

日暮佳永

昭和一三年一月七日生

出席検察官 高畠久尚

弁護人(私選) 武田喜治

主文

被告人株式会社ヒグレインターナショナルを罰金五五〇〇万円に処する。

被告人日暮佳永を懲役二年に処する。

被告人日暮佳永に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

【犯罪事実】

被告人株式会社ヒグレインターナショナル(以下被告会社という)は、東京都中央区新川二丁目二〇番八号(平成七年四月二五日以前は東京都渋谷区鴬谷町七番一号)に本店を置いて、婦人下着類の輸入、国内販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円(右同日以前は二〇〇万円)の株式会社であり、被告人日暮佳永(以下被告人という)は、被告会社の代表取締役として、被告会社の業務全般を統括しているものである。

被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、架空の商品仕入高を計上するなどして、所得を秘匿した上、次のとおり法人税を免れた。

第一  被告人は、平成五年三月一日から平成六年二月二八日までの事業年度において、被告会社の所得金額が一億六六四一万九四七三円であったにもかかわらず、同年五月二日、東京都渋谷区宇田川町一番一〇号渋谷税務署において、渋谷税務署長に対して、その所得金額が九一二万九〇六七円(別紙1の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が二三〇万八八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第二〇七二号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額六一二九万二六〇〇円と申告税額との差額五八九八万三八〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れた。

第二  被告人は、平成六年三月一日から平成七年二月二八日までの事業年度において、被告会社の所得金額が二億四七九七万〇五五一円であったにもかかわらず、同年五月一日、前記渋谷税務署において、渋谷税務署長に対して、その所得金額が一三五二万九三二六円(別紙2の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が三六五万六三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第二〇七二号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額九一五七万一七〇〇円と申告税額との差額八七九一万五四〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れた。

第三  被告人は、平成七年三月一日から平成八年二月二九日までの事業年度において、被告会社の所得金額が一億七八一四万三〇二九円であったにもかかわらず、同年四月三〇日、東京都中央区新富二丁目六番一号京橋税務署において、京橋税務署長に対して、その所得金額が二二六〇万一三一一円(別紙3の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が七四一万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第二〇七二号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額六五七四万一四〇〇円と申告税額との差額五八三二万八三〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れた。

【証拠】(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

全事実について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(三通、乙三、四、五)

冒頭の事実について

一  被告人の検察官に対する供述調書(二通、乙一、二)

一  登記簿謄本、閉鎖登記簿謄本(乙九)

第一、第二、第三の各事実について

一  古橋行弘の検察官に対する供述調書(二通、甲二〇、二一)

一  商品仕入高調査書、水道光熱費調査書、租税公課調査書、交際接待費調査書、商品企画開発費調査書、通信費調査書、雑費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、交際費等損金不算入額調査書、事業税認定損調査書

一  捜査報告書(二通、甲二六、二八)

第一、第二の各事実について

一  広告宣伝費調査書、地代家賃調査書

第一の事実について

一  給料手当調査書、消耗品費調査書

一  法人税確定申告書一袋(平成九年押第二〇七二号の1)

第二、第三の各事実について

一  綿田仁の検察官に対する供述調書

一  厚生費調査書

第二の事実について

一  灰田修一の検察官に対する供述調書

一  売上高調査書

一  法人税確定申告書一袋(平成九年押第二〇七二号の2)

第三の事実について

一  坂庭昇の検察官に対する供述調書

一  固定資産売却損調査書

一  法人税確定申告書一袋(平成九年押第二〇七二号の3)

【法令の適用】

被告人の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、平成七年法律第九一号(以下改正法という)附則二条二項により、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、改正法附則二条三項により、刑法二五条一項を適用して、情状によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、さらに、被告人の判示各所為は、被告会社の業務に関して行われたものであるから、被告会社については、判示各所為についていずれも法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処せれるべきところ、各罪について情状により同条二項を適用し、改正法附則二条二項により、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社について刑法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その各金額の範囲内で被告会社を罰金五五〇〇万円に処することとする。

【量刑の事情】

本件は、婦人下着の輸入、国内販売等を目的とする被告会社の代表取締役であった被告人が、被告会社の所得について、架空の商品仕入高等を経費として計上するなどして、三事業年度にわたり、合計二億〇五二二万七五〇〇円の法人税を免れたという事案であり、脱税額は比較的高額であり、正規の税額に対して脱税額が占める割合も、優に九〇パーセントを超えており、軽視できるものではない。

被告人は、被告会社の業務に関して、知人が経営する会社に被告会社が振出した約束手形に裏書させ、他の知人らに当該約束手形を取立てさせるなどして、当該約束手形の手形金額からこれらの関係者に支払った報酬を差し引いた現金を回収し、このような約束手形の記載にあわせて被告会社が被告人の知人が経営する会社から商品を仕入れたかのような伝票類を整えて、架空の商品仕入高を計上するなどして、簿外資金を作り、それと符合させた法人税の過少申告をしていた上、簿外資金を親族の預金口座に留保していたほか、その口座の預金額が多額になって脱税が発覚するのをおそれて、多額の金員を現金のまま保管していたのであって、その所得秘匿行為は手の込んだものである。のみならず、被告人は、税務当局から調査を受け、事業年度末に多額の商品を仕入れていることが不自然である旨指摘されるや、関係者と販売委託契約に基づき事業年度末に商品仕入代金を決済していた旨の書類を整えるなど、隠蔽工作をしている。被告人、被告会社の刑事責任は重いというほかない。

他方において、被告会社は、本件で起訴された事業年度の免れていた法人税について、その本税、重加算税、延滞税を全て納付しており、そのため、留保していた簿外資金をこれらの本税、附帯税の支払に充てている上、本件が発覚したことから、一部の取引先から取引を停止されるなどして、売上が下落し、業績を悪化させているなど、相応の経済的な制裁を受けている。また、被告人は、本件について反省の態度を示しており、本件を契機として、税理士が定期的に被告会社の経理について把握できるようにして、被告会社の経理処理を改善しているなど、被告人、被告会社にとって有利な事情もある。

そこで、これらの事情を総合して考慮し、被告会社を主文の罰金刑に処し、被告人を主文の懲役刑に処した上、被告人に対する懲役刑の執行を猶予することとした。

(裁判官 山口雅髙)

別紙1

修正損益計算書

自 平成5年3月1日

至 平成6年2月28日

株式会社ヒグレインターナショナル

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

株式会社ヒグレインターナショナル

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 平成7年3月1日

至 平成8年2月29日

株式会社ヒグレインターナショナル

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

自 平成5年3月1日

至 平成6年2月28日

株式会社ヒグレインターナショナル

<省略>

自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

株式会社ヒグレインターナショナル

<省略>

自 平成7年3月1日

至 平成8年2月29日

株式会社ヒグレインターナショナル

<省略>

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